トワイライト
ライブレポート
 福本 淳

心を癒し、勇気を与えてくれる

優しさに満ちたメロディ。
手話で歌う福本淳さん

『目を閉じてはじめてわかる優しさがある。』をキャッチフレーズに活動されている福本淳さん。ピアノを弾く福本淳さん
この日は、真っ白なスーツ姿でステージに登場され、ピアノのメロディーに乗せて、力強さと優しさを感じさせる歌声を披露してくださいました。観客たちは、福本さんの歌を手話通訳やマルチビジョンに映し出された歌詞を読み取りながら、じっくり噛みしめるように聞き入っていました。3曲目の「てんてんのうた」では、福本さん自身がピアノから離れ、歌詞を手話通訳しながらのパフォーマンス。タイトルにある“てんてん”というのは、点字のことをさしているそうです。そして4曲目の「エブリディ エブリシンキング」は大阪に対する気持ちを歌にしたもので、大阪弁を盛り込んだ歌詞とのりのよいメロディーに合わせて手拍子が始まりました。
最後の曲となった「風をみた人」は、昨年、全国一般発売されたシングルCDの曲。福祉施設に通う人たちのことを思って書かれた曲だそうです。大きな拍手に包まれて、福本さんは深く頭を下げられステージを降りられました。





||||||||【 福本 淳◇インタビュー ||||||||

 インタビューシーン

--福本さんは、どのようなきっかけで音楽を始められたのですか?


「幼少時代、普通の学校に通ってたんですけど、先天性の視覚障害を回復させるために何度も手術を繰り返すうち、授業も遅れがちになってきまして…(苦笑)。そんな時に、“目が見えなくてもピアノという楽器はできるん違うかなぁ”と思って始めたのがきっかけです」

--その後、本格的に音楽の勉強を?

「音楽が好きだったので、音楽の学校に進みたかったんです。でも当時、寮生活のため楽器に触れることができませんので、一人暮らしを始めまして…。念願の大学にも入れたんですが、それまで、かろうじて見えていた光が見えなくなってしまった時、これから生きていくことを考えると“気楽に音楽なんかやってられへんで…”って部分もあったんですけど、やっぱり捨てられなくて…。自分にとって音楽は心を癒してくれるものだったし、“音楽ってすごい力があるなぁ”と、再認識したんです」

--障害者向けの音楽教室を始められたのは、ご自身のそういった経験から?

「そうなんです。視覚・聴覚、手足などに障害のある方、また自閉症、ダウン症などの方たちがピアノを弾いたり、ドラムを叩いたりすることで、少しでも日常生活の中で潤いが持てるように…。そして、教室に通うことで生活のリズムを整えたり、外出訓練にもなるでしょうしね。生の音を感じてもらったり、音を出す楽しみを体験してもらったりしています。さまざまな障害を持った人たちに指導するには、いろんな工夫や設備を整えることが必要になってくるけれども、それで喜んでもらえたり、何かカタチになってゆくような活動ができたらいいなと思ってるんです」

--ビッグアイの施設や設備についての感想をお聞かせください。

「新しくて、立派な施設のようですね。でも一つ思うのは、僕たちのようなハンディのある人が街づくりの中で関われる部分っていうのが、すごく限定されてしまうんです。身体を動かしたい時のための施設とか、僕の音楽教室もそれにあてはまるわけですけど…。そういうところが敷居の高いものじゃなくて、気軽に来れるようになってほしいなぁと思います。僕自身も大阪出身ですから、何かそういう部分で社会に対して同じような立場の人たちに何かできるんと違うかなって思ってるんですけど、目指すところがすごく近いような気がするんですよ」

● 福本淳(ふくもと・きよし) ●
1970年、京都生まれ。先天性視覚障害のため、幼少期には15回に及ぶ手術を試みる。11歳でピアノを始め、19歳で全盲となる。93年に大阪芸術大学演奏学科声楽コースを卒業し、自作の曲を中心としたピアノの弾き語りによる演奏活動を開始。94年、「福本ヒーリングスタジオ」を開設し、自らの体験をもとに障害者向け音楽教室を実施。98年、ファーストCDアルバム「小さな出逢いから」、2000年には「風をみたひと」をリリース。現在、ピアノの弾き語りからバンドでのステージもこなし、精力的に活動中。