「第6回大阪府障害者芸術・文化オープンカレッジ」(上半期)の演劇コースは、全5回、大研修室・中研修室・多目的ホールを利用して開催されました。 講師は、このオープンカレッジではすでにお馴染みの深津篤史さんに担当していただき、題材となったのは、宮沢賢治の短編作品「やまなし」です。 第1日目と2日目は、自己紹介のほか、体を動かしながら声を出すボイストレーニングのレッスン。演劇コース参加者にはリピーターも多いため、手慣れたようすで元気よく大きな声を出す人もいれば、初めての体験にとまどいながらも懸命に取り組む人、そして車椅子の方も、自分にできる範囲で体や車椅子を動かし表現していました。日頃はあまり実感することのない自分の声と体の仕組みを感じることのできるました。
第3日目は、前回のおさらいと宿題を発表する日です。“アニマル・エクササイズ”ということで、各自が動物の動きを研究し、体を使って表現することが宿題に出されていました。ひとりずつみんなの前でジェスチャーを始め、みんなに当ててもらいます。トリやカエルなど、それぞれがどんな動物のどんな動きに着目したのか、とても和やかになりました。そして、次に行われた課題は「サザエさん」の寸劇。2つのチームに分かれてキャラクターの中から配役を決め、寸劇を完成させます。演劇コースの参加者は12歳から48歳という幅広い年齢層にも関わらず、さすがに国民的アニメということもあり、楽しい寸劇が完成しました。演じるほうも、見るほうも、笑顔がいっぱいでした。
第4日目は、いよいよ本番に向けてスタート。参加者を2つのチームに分けて「やまなし」の配役を決定します。台本を読み、立ち稽古を繰り返すうちに、動きも声もだんだんとのびのびとしたものに変化し、だんだんと各チームの息があっていくようすが感じられました。 第5日目は最終日。これまでのおさらいをした後、「やまなし」のリハーサルです。多目的ホールの大きなステージで、照明や音響効果も本番さながらのムード。けれども参加者たちは、いつもどおりのびのびと配役を演じ、歌っていました。リハーサルの後には、深津さんからアドバイスが伝えられ、いよいよ本番を待つばかりです。観客席には参加者のご家族や友人がカメラを片手に、開演を楽しみにしている姿が見られました。 そんなあたたかいムードの中、参加者たちはステージの上で5日間で学んだことをそれぞれのセリフや「春の小川」の合唱、ときにはアドリブを加えた動きで観客を楽しませてくれました。2チームの発表を続けて見ていると、泡の形や魚の動きなど、参加者がそれぞれの想像力を発揮し工夫している点がよくわかります。その結果、同じ台本なのに、まったく違った印象の2つの舞台が完成しました。発表を終えた参加者たちは一様に満面の笑顔。その表情に、この5日間がどれだけ楽しく有意義な時間であったか、全身を使って表現することの喜びや大勢でひとつの目標に取り組んだ達成感がにじみ出ているようでした。